空の飛び方

第14章:揺れ動く決断

太一はシステムエンジニアとしての3年目を迎え、昼間の仕事で確固たる地位を築いていた。彼の技術力と人間関係の才能は会社内で高い評価を受け、彼は多くのプロジェクトで中心的な役割を果たしていた。しかし、心の中では、年度内に会社を辞めるという大きな決断を控えていた。

太一はこの重要な報告をいつ、どのように上司に伝えるべきかを決めかねていた。彼の心は独立への強い願望と、東京でのコネクションや経験の不足による不安とで揺れ動いていた。

そんなある日、太一はかつてクラブで出会ったデザイン事務所の社長である女性デザイナーに相談を持ちかけた。彼女は彼の不安を理解し、太一に提案をした。「一度、私の事務所で仕事を手伝ってみないか?」

太一はその提案に応じることを決めた。太一の日々は、システムエンジニアとしての本職に加え、新たな挑戦として始めたデザイン事務所での仕事で構成されていた。週末や夜、空いた時間を利用して、彼はデザイン事務所での手伝いを行っていた。この新しい仕事は、彼の日常に新鮮な刺激をもたらし、新しい視点を開いていた。

デザイン事務所での仕事は、昼間の大企業での仕事とはまったく異なる世界だった。小さなチーム、柔軟な働き方、クリエイティブなアイデアの飛び交い。太一は大企業とは異なる、この新しい環境の中で、ビジネスのやり方に大きなギャップを感じた。

彼はデザイン事務所での経験を通じて、独立に向けたノウハウを学ぶ重要性を実感し始めた。独立してすぐに成功することは難しいという現実を理解し、彼は独立前に必要な知識とスキルを身につけることに焦点を当てることに決めた。

デザイン事務所の女性社長は、彼にビジネスの基本から、クライアントとの関わり方、プロジェクトの管理方法まで、多岐にわたる知識を惜しみなく教えてくれた。太一は、彼女から学んだことを自分の独立計画に生かそうと考えた。

昼間の仕事では、彼は依然として高いパフォーマンスを発揮していたが、心の中ではすでに新しい未来に向けて歩み始めていた。彼は、昼間の仕事での経験を独立後のビジネスにどのように活かすことができるかを常に考えていた。

太一の心の中では、期待と不安が交錯していた。独立することで自由を手に入れることができるが、同時に大きな責任も背負うことになる。しかし、彼はこの挑戦を楽しみにしていた。彼は、自分の力で新しい道を切り開くことに自信を持ち始めていた。

太一は、昼のソフトフェア会社を辞める準備を進めながら、自分の新しい人生を想像していた。彼はこの挑戦が、自分をさらに成長させることを知っていた。東京の夜は彼に夢と挑戦を与え、彼の人生を豊かに彩っていた。太一の新しい人生の物語は、これからも続いていくのだった。