新宿の繁華街、居酒屋の入口に大きく書かれた「本日限定!特選サーモン!」の看板を横目に、太一は一歩足を進める。入口で待っていた健二と悠馬は、太一の登場に「遅いぜ!」とツッコミを入れた。太一は苦笑いしながら「ちょっと迷ったんだよ」と言い訳をする。
中に入ると、すでに真理とその友人たちが席に着いていた。真理の隣には、美紀という明るく社交的な女性と、理佳という控えめだが知的な印象の女性が座っている。
「太一さん、こんばんは!」真理はにっこりと微笑みながら挨拶をした。太一は心の中で、やっぱり彼女は美しいなと思う。
席に着いた太一たちは、まずは冷酒とビールで乾杯。悠馬はいつものように場を盛り上げるための下ネタを披露し、美紀はそれに乗っかって大笑い。一方、理佳は静かに悠馬の話を聞いている。太一は合コンの雰囲気を楽しみながらも、真理のことが気になる。
飲み物が進むにつれ、真理と太一はどんどんと話が弾むようになった。二人は仕事の話からプライベートの話、最近の趣味や好きな映画など、さまざまな話題で盛り上がった。
「太一さん、この前のプロジェクトでお疲れだったでしょう。でも、あれだけの結果を出せたのはあなたのおかげです。本当に感謝しています。」真理の言葉に太一は、嬉しさと少しの緊張を感じた。
合コンが進む中、健二は美紀と、悠馬は理佳と盛り上がっていた。そして、夜が更けるにつれて、太一は勇気を出して真理に提案をする。
「真理さん、もしよければ、2次会は二人でどこか静かなバーに行かない?」太一は真面目な顔で言った。真理は少し驚いたような表情をしたが、瞬時に笑顔になり、「いいですね。行きましょう。」と答えた。
二人は新宿の裏路地にある小さなバーへと向かった。店内は静かで、落ち着いた雰囲気。太一はスコッチを、真理はジンジャーエールを頼んだ。
夜が深まり、太一と真理はそれぞれの夢や未来について語り合った。気づけば、二人の間には距離感がなくなっていた。太一は真理の瞳の中に自分の姿を映し出していた。
「真理さん、今日、本当に楽しかったです。」太一は真理の手に自分の手を重ねた。真理は太一の手をしっかりと握り返し、「私も、太一さん。」と言った。
帰り道、夜風が冷たく感じる中、太一は真理の手を引き、人気のない路地へと入っていった。真理は少し驚いた表情をしたが、太一の顔を見ると安心したような笑顔になった。
路地の奥、月明かりの下、太一は真理の両手を握り、「真理さん、本当にありがとう。今日は、私にとって特別な日になりました。」と言い、真理の唇に自分の唇を重ねた。真理も太一のキスに応え、二人の心は一つになった。
この日、太一と真理の関係は新たなスタートを切ったのだった。